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2007.06.28

<バベルTheLegalComm>
2007年5月号The LegalCommに「パラリーガルの仕事(米国)」の原稿が掲載されました。

『パラリーガルの仕事(米国)』
カートン&マッコンキー総合法律事務所(Utah, USA)
米国弁護士山本寿賀, J.D., M.B.A.

ブリガムヤング大学JD/MBA取得。商社法務室長、版権管理会社取締役、電気通信会社法務部長を経て、カートン&マッコンキー総合法律事務所日系企業グループリーダー。米国弁護士

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パラリーガルとは、企業の法務部、政府機関の法律業務担当部署、法律事務所等において、法律上定められたライセンスを有する法律専門家(弁護士、裁判官、又は検事等)の監督の下で法律業務を担う人を言います。パラリーガルの資格は、アメリカ合衆国においてもいくつか提供されており、今後一般的になっていく可能性はありますが、現時点では資格なしでもパラリーガルになれます。実際、今働いている多くのパラリーガルは資格を持たない人たちです。また、パラリーガルの働く職場は、法律事務所の中でもビジネスが拡大している場合が多く、恵まれた環境で働けます。本稿では、まず法律事務所内でのパラリーガルの位置づけを考え、その後パラリーガルが多く活躍する部署の仕事内容及び将来性を解説していきます。

  1. 法律事務所でのパラリーガルの仕事内容の位置づけ
    組織を立ち上げるときには、仕事と人材のバランスを取りながら、育てていかなければなりません。法律事務所についても、この原則が適用できます。それでは、新しい事務所の立ち上げを例にパラリーガルの位置づけ考えましょう。まず、開業してクライアントが増えてくると秘書、受付、経理、IT等の業務担当を順次雇い入れます。拡大のスピードとスタッフの数のバランスを取りながら、法律業務に直接関係のない部分をスタッフに委任し、弁護士は監督責任を負います。継続的な仕事の増加につれて、弁護士の数も次第に増えます。拡大する法律業務の効率化を図るために、パラリーガルの採用は通常この段階で行われ、パラリーガルは様々な法律業務を担当します。但し、パラリーガルは、弁護士だけしか行えない業務、例えば、法廷での弁論、クライアントの代理、法律的アドバイス等は行いません。従って、パラリーガルの業務範囲とは、法律事務所の全ての業務から、法律に直接関係のない事務と弁護士だけしか出来ない業務を除く全てが対象となります。もちろん、全てのパラリーガルが、可能な範囲の業務を何でも担当するのではなく、個々のパラリーガルの能力と所属部署の状況によって、業務内容は異なります。
  2. パラリーガルの業務
    法律事務所内でのパラリーガルの位置づけがわかったところで、次に、パラリーガルが多く活躍している特許・商標、移民法、国際法務などの部署における具体的な業務を説明します。

    特許・商標
    特許・商標部門では、特許(前例検索、利用権検索、特許登録等)、商標(前例検索、商標登録、不正使用監査、インターネットモニタリング、異議申し立て、無効申請等)、著作権(著作権調査、著作権登録、インターネットモニタリング等)、戦略立案(IP保護戦略、違反モニタリング、違反行為回避等)、ライセンス(契約交渉、ライセンス文書立案等)、知的財産権訴訟(州・連邦裁判所における侵害行為訴訟及び不当競争訴訟等)を含む様々な業務を担当します。特許・商標を扱う弁護士は、長年の経験や新しい事例に関するリサーチに基づいて、申請対象の特許・商標が承認されるように工夫して説得力のある文書に仕上げたり、知的財産権の保護に関わる戦略を練り上げて実行したり、様々な訴訟の対応をします。パラリーガルは、申請書類の作成、関連資料の翻訳、裁判資料の作成、手続上の必要事項の確認、クライアントとの連絡などを担当し、弁護士とコミュニケーションを取りながら業務を進めていきます。パラリーガルの業務は、秘書が担当する業務よりも専門的であり、法律的な知識と正確な文書作成能力が求められます。

    移民法
    移民法部門では、家族移民、雇用移民、非移民ビザ、行政及び司法審査、帰化・市民権関連の案件を扱います。本分野の特徴としては、法令の改変のスピードが速く、クライアントのほとんどは外国人であり、多くの定型的な申請書類が作成される点です。移民法のみを扱う法律事務所や大規模事務所の移民法部門では、通常何人ものパラリーガルが、書類作成、クライアントとの連絡業務、プロジェクト管理、翻訳等のために働いています。また、パラリーガルは、それぞれの法律事務所の主たるクライアントの母国語に堪能であることが求められます。さらに、移民法関連の申請文書に関わる様々な規則や手続きに関する最新の情報を熟知し、迅速かつ正確に手続きが進むように心がけなければなりません。この分野のパラリーガルは、多くの国々のクライアントとコミュニケーションを取る機会が多く、毎日のように色々な人と出会う楽しみがあります。

    国際法
    国際法部門では、M&A、会社設立、国際税務、免許の申請・取得、不動産契約、国際建築契約、国際ファイナンス取引、雇用・労働法、国際紛争、国際売買契約等を含む広範囲な業務が対象になります。この部門に関しては、特許・商標及び移民法と違い定型的な法律文書作成業務の比率が下がり、ダイナミックで大規模な業務の比率が上昇します。より広範囲な分野の業務を、より多様なクライアントに提供するのです。パラリーガルとしても、翻訳、リサーチ、資料作成、クライアントとの連絡、クライアントの文化・習慣を担当弁護士に理解させる等の多種多様な役割を担います。大規模な事務所であっても、必ずしも全ての弁護士が海外のクライアントの言語に通じているのではなく、外国語に堪能なパラリーガルは、弁護士からもクライアントからも頼りにされます。
  3. パラリーガルの将来性
    情報技術が驚くような速度で発達し、法律の世界でも国際化が進む現在、パラリーガルの仕事についても国際的な分野での活躍の場が広がっています。特に、米国には、世界中からビジネス及び人材が集まっており、パラリーガルの仕事も、伝統的な弁護士業務の補助といった役割から、国際的な橋渡しをする役割へと変化しています。その流れの中で、複数の国の言葉・習慣・文化を理解しながら業務を遂行できるパラリーガルの需要は高く、能力次第で重要な業務を多く任されるやりがいのあるキャリアと言えるでしょう。

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